「懐かしの高千穂鉄道」

高千穂鉄道は、2005年9月の台風14号の被害により運行休止となり、2008年12月28日に全線廃止となりました。
二度と見られぬ車窓風景を惜しんで、以前アップしていたページを復活させることにいたしました。
内容は2001年12月にアップした時のままです。 
          

                         01.12.2.撮影

 高千穂鉄道は宮崎県延岡市から西臼杵郡高千穂町までの五ヶ瀬川沿いを走るローカル線です。
 車窓は 美しい渓谷の眺めと 谷底から見上げる橋が圧巻ですが、駅名もまた興味深いものがあります。
 『延岡駅→西延岡→行縢→細見→日向岡元→吐合→曽木→川水流→上崎→早日渡→亀が崎→槙峰→
  日向八戸→吾味→日之影温泉→影待→深角→天の岩戸→高千穂駅』

          難解な駅名の読み方 

   行縢    「ムカバキ」と読みます。延岡を出発して最初の愕きがこの駅名。
          この字を読める人は よほどの鉄道マニアか登山者です。 
          近くにある行縢山から名付けられました。

   吐合    「ハキアイ」と読みます。”川と川が出合ったところ”と言う意味だそうです。

   川水流   「カワズル」と読みます。川が大きく湾曲している意。
           近くに有名な鮎の簗があり、300年の伝統を誇ります。

   日向八戸  「ヒュウガヤト」戸数が由来。近くに八戸ダムがあります。

   吾味     「ゴミ」 名前の由来は不詳。メルヘンチックな駅舎が素敵なところ。

   日之影温泉 駅の二階が温泉場です。影は古語で光を意味します。
           神武天皇の弟宮が雨止みの祈祷をしたら 日が輝きだした故事からきています。
   
   影待     「カゲマチ」神武天皇が暑さを避けて休んだ地。

   天の岩戸  「アマノイワト」 天照大神の岩戸伝説の地です。

 

それでは 懐かしい感じのする川水流駅と 「川水流やな」の遠望からまいりましょう。
以前にこの近くの大崩山に登ったとき 五ヶ瀬川の簗のことをガイドブックで読みました。10月〜11月の期間なので今は骨組みだけになっています。

       

 

ついで上空を天馬大橋が横切ります。高さ80mのアーチが青空に映えます。

     

 

早日渡(はやひと)駅を過ぎると 赤いアーチ橋が見えます。高さ100mの干支大橋です。干支の地名が多いことから名付けられたとか。

     

          サロンカーは明るい。広い窓ガラスが磨きあげられていて、おかげで撮影画面が綺麗です。



程なく亀ヶ崎駅
この辺り 渓流が一段と美しい所で亀に似た奇岩があることから亀ヶ崎というそうです。

     

 

やがて徐行運転して眺めを楽しませてくれる八戸観音滝にさしかかります。安産と開運の観音さまが祀られているそうです。右の遠景写真の上部に 自動車道の橋が覗いているのが判別できますか?
走っている列車の窓ごしに撮影するため アングルもピントも全く運頼みなのです。

       

滝を過ぎると日向八戸駅です。発車直後ダムの堰堤が現れ八戸ダムの美しい湖水風景が広がります。
八戸の次はメルヘンチックな吾味駅に停車します。

     

さて いよいよ日之影温泉駅に到着。昭和10年に開通して14年に日之影まで鉄道がのびました。
しかし 終点の高千穂まで通じたのは昭和47年だったのです。
温泉のある駅はありますが、駅そのものが温泉場というのは珍しいですね。
川向こうに学校や民家が見えます。

       

対向車両が入ってきて、美人の乗務員が顔を出した。
名所案内に青雲橋とある。ここからは見えないがアーチ橋としては東洋一の高さだそうである。
ほかに丹助山というのが出ている。「奇岩怪石の山」だそうだ。大崩山も花崗岩の奇岩怪石の凄い山だった。登山意欲をかきたてられるなあ。

       

 

日之影町を過ぎると谷は深く迫り 山奥へ来たなあと感じる。
深角駅から この線最長の大平トンネルへと向かう。2938mの通過に4分かかります。登り勾配のためです。
大平トンネルを抜け出た列車は 
この線のハイライトである高千穂鉄橋に到達し徐行運転と説明のアナウンスが始まります。
鉄道橋では東洋一の高さ(105m)  
車窓は深い谷の両側に神話の里が広がっています。
右のギザギザの山並みの一つは 西南の役のとき 西郷隆盛と関わりがあるらしいのですが・・・。

     

     

 
天の岩戸駅は趣きのある簡素さが良かったのだけれど、ピンボケで映像になりませんでした(^^ゞ
岩戸駅の次は終点高千穂駅です。

「高千穂」の名は 天孫ニニギノミコトが千の稲穂の束を大地に播いた由来から。
千木の屋根を模した古代ムードの駅舎と 列車到着時に流れる刈り干し切り唄が旅情をそそります。

      

           

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