薬師谷探訪  「オタカの滝」 01.11.20.   三人会11月例会

 宇和島新聞に連載中の西田先生の「山旅」は このところ薬師谷に集中しています。
薬師谷は鬼が城山と権現山を水源とする薬師谷川の上流です。
先日は「オタカの滝」でした。大きな”どてっぱら”を持つ滝の写真が出ていました。
「そこへ行く登山道がない」という記事も魅力的でした。
で・・・今月の三人会例会は地元の山行となったわけです。

 9:00 岩戸橋出発 →9:50 折れ釘の滝 →10:10 オタカの滝
11:45 オタカの滝出発 →12:20 サクラミズ →13:30 岩戸橋帰着

8:50 リーダーの車に拾ってもらって岩戸橋に行くと 和美さんはもう来ていた。
権現山登山口から分岐まで登り そこから左折して「大ひょうたん」への道をとる。
道の方々にイノシシの掘り返した跡が生々しい。
「週末にイノシシの運動会があったんじゃないの?」などと軽口をたたきながら楽しく歩く。
なにしろ我が家から岩戸橋まで車で15分の距離。体力は万全である。

大ひょうたんを過ぎて進路は右へ杣道を辿る。本流を離れて権現山を源流とする支流を遡るわけだ。
僅かに流れていた水が涸れ川になり 道が不鮮明になる頃から川床を歩く。
大小の岩がごろごろしているが水は全く無い。岩の隙間から水音もしないので完全な伏流である。
川を歩いたり藪を漕いだりしながら前進するうちに また水が流れ出した。

9:50 滝が現れた!変わった滝だ。
上部で左流していた水が右へ方向転換して落下している。
平仮名の「く」の字の形である。
無名の滝なので 私は「折れ釘の滝」と勝手に呼ぶことにした。
しかし 如何せん 谷間は暗い! 
暗さに弱い私のデジカメの”サラちゃん”は 妖艶な?写真を撮ってくれた。

         

         写真はアングルとピントが悪いため ”折れ釘状態”が不鮮明・・・(^^ゞ

10:15
折れ釘の滝から5分の藪漕ぎで 突然前方に岩壁が出現した。
美しい雪輪を描いて水が滑り落ちている。

       

水量の変化につれて雪輪模様が目まぐるしく変わる!自然の造形の妙である。見ていて厭きることがない。
これも無名の滝であるが 「雪輪の滝」以外に名前の付けようがないと思う。

 


オタカの滝は
雪輪の滝の右奥にあった!
滝水は
天から落ちてくるかと思われた。


滝の前は豪勢な岩座敷である。

左に雪輪、右にオタカの滝が並んで 
”両手に滝”といった場所なのである。

二つの川が合流する地点を出合というが
二つの滝でもって出合を構成する地勢は
あまり例がないのではなかろうか

磁石を取り出して調べてみると 
南からオタカの滝  
東から雪輪の滝が落ちていて 
合流した水は北に向かって流れていき 
折れ釘の滝となるのだ。


オタカの滝は予想を遥かに超えた落差をもっていた。 
でっかいお腹は よほど硬い岩盤なのであろう。
打ちつける水にへこむどころか 盛り上がっている。下方の岩間に小さく存在する滝壺が可愛い。
上流から流れてきたらしいウリハダカエデの落ち葉が滝の飛沫を浴びて鮮やかであった。

    

      滝の左上部の苔が紅葉して美しい。 デジカメにズーム機能がないのが残念だ。
 

     

写真を撮り 周囲を探検して 苔の美しさに感嘆した。斜面の苔の1箇所が白く捲れていた。ゼンマイの根元だが、そこへ歩いた跡は無かった。フカフカの緑の絨毯を誰がどうやって裏返したのか・・・不思議。

11:00 早いけど昼食にする。例によって リーダーの缶ビールを三人で分けて乾杯♪
      滝を両手の贅沢な宴だ。水が天然クーラーになって寒いのが難点ではある・・・。

11:45 
オタカの滝を出発。
滝の上へ行ってみることにした。
右へ回り込んで藪を漕ぎながら登る。

程なく杣道に出て左に進むと
オタカの滝の上に出た。

自然の岩床を利用して造られた小さな堰があった。山仕事のための人工物であろう。

すぐ上にウリハダカエデの高木があり
堰にも 落ち葉が浮いていた。
滝壷の落ち葉はここから来たのだろう。
三裂或いは五裂した葉が特徴で 紅葉の美しい木である。

 

「ここまで来たら源流へ行ってみようよ」という話になり 流れに沿って登り始める。
激しい藪漕ぎ!
リーダーは道があっても藪を漕ぎ 和美さんは楽な杣道を探す。私はどっちでも良いわ〜ととりあえず現状維持で進む。
とうとう和美さんが登山道へ出た。そちらへ行こうと思うのに 私はノバラの蔓に捕まって動きがとれない。
無理矢理脱け出たとき 権現さまに貢物を要求されたらしいよ!

12:20 登山道に出て ほんの少し進んだら サクラミズだった。
夏の権現山の頂上祭のとき 下山時にサンショウウオがいた水場である。

地図を見るよりも 足で調べるほうが確実だと納得して下山開始。

篠駄馬まで登山道を下り
米マツの珍しい落ち葉を見

昔 建物のあった場所の
紅葉を楽しみ・・・

その先から
また 藪に入って急坂をおりる。

腐葉土化した倒木が
キノコみたいに香り立つ!
竹幹の朽ちたのを掴めば
なんとも頼りなく折れる空虚な音!
おっと危ない”ポコリンコ” 
私の骨がこんな音をたてたら
どうしましょ!

急斜面の下り <道を歩かない連中だぁ> (^o^)
「こんな時こそ杖を使えばバランスが取り易いのに ザックにつけたままでね」と私
「え?杖どこにあるの」と和美さん
「ここに付いてるでしょ?」「付いて無いよ」
「げっ!」

思い出した〜
ノバラの茂みに捕まって身動き出来なかったときだ!あの時 権現さまに所望されたらしい。
杖をとめていたピンが弾けてた。

良いよ 良いよ 権現さま
半分調整が利かなくなった杖だけど 穂高連峰や槍ヶ岳や剣岳に登った杖だから
権現さまに謹んで納めます。   


13:30 岩戸橋帰着。 嗚呼 愉快な山行だったなあ♪

        

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