熊の谷・氷棚神事 01.1.30 (宇和島市薬師谷)
総勢10名 薬師谷の岩戸橋に8:30am集合して、三好さんのご挨拶のあと自己紹介などして出発しました。
天気予報は雪
ツララ取りの神事ですから 寒くないと駄目なわけです。
1月20日に様子を見に行った時は 身の丈ほどもある氷柱が育っていたそうですが
先週は3月なみの気温だったので
どんなツララに会えるかと、
薬師谷の”生き字引”の三好さんを先頭に
わくわくしながら権現山への道を登って行きました。
途中 法螺貝の吹き方など教えて貰う
三好さんのいでたちは 山刀に鹿皮の腰当て ”これぞ男!”って感じで素敵なんですが
撮影を失敗しちゃいました。失敗作でも無いよりマシかなあ(^^ゞ
中腹から雪が降りだしました。小一時間も登ると小さな沢に出ます。そこから林相が変わり 空が覗き 気温も変わってきますが、民有林と国有林の境なのだそうです。沢の傍にツバキが数本生えていて 蕾が赤い色を見せていました。しばらくすると明瞭な分かれ道があります。右に登れば権現山 左を進んで行けば熊の谷です。
10:30 氷棚に到着 雪のなかで祭壇作りが始まりました。暗い空間にツララが煌いています。細いですが その分透き通って美しい。
下の写真のように 氷棚の仕掛けは複雑で大掛かりなものでした。過去の遠い記憶の底から 仕掛けを掘り起こして再現した三好さんの努力に頭が下がります。
心づくしの祭壇が出来ました。榊 米 塩 お神酒などが供えられて 辺りに厳かな雰囲気が漂います。
谷間に法螺貝の音が響き渡り 全員拍手を打って今年の豊作と幸せを祈願して 神事が行われました。
そのあと お下がりのブランデーにツララを入れての乾杯!
世相は不況にあえいでいますけれど 何よりも健康第一〜と 今日の幸せに感謝しながら味わうブランデーの美味しかったこと♪
(たいして呑めない私ですが 味はわかりますですよ(^o^))
わが三人会の花である和美さんが 南郡から駆けつけてくれて、若い女性はバラが咲いたみたいな華やかさがありまして、貴重な存在でした。はからずも三人会は全員参加することが出来、リーダーは新聞社のかたが来られなかったので写真撮影の記録係の大役!ご苦労さまでございました。
12:30 ツララを採取して下山開始
雪が止んで 明るい国有林の道
背中のツララが少し重いけど 気分は最高なんです。
沢までくると
その先の民有林は雪が全然ありません。沢を境にして別世界です。
「国有林は貧乏やから寒いんや」
と誰かがジョークを飛ばし
和やかな小休止
ここは大くらの滝を箱庭にしたような沢で
段を重ねた岩の層の上を水が跳ねて落ちています。
ツバキが咲いていれば絵になる雪景色だったのに・・・
ずっと下りて視界の開けた場所までくると 穏やかな曇り日でした。上のほうの雪が嘘のような日和です。
ツツジが花芽を膨らませています。子持ちシダという珍しい植物を西田六助先生に教えていただきました。日陰の好きなシダのようです。11月ごろ 葉の表面に胞子を付けるそうです。
13:45 岩戸橋帰着
初めて氷棚の仕掛けを見学して思ったことは 昔の人の偉さです。祖先の積み重ねてきた知恵の遺産とも言うべき歴史を 受け継いで未来へと語り伝えていくことが 「どんなに大切か どんなに難しいか」 つくづく考えさせられました。
☆宇和島市薬師谷の13の氷室は1915年(大正4年)まで商業的に使用されていた貴重な遺産です。
「氷社」という天然氷貯蔵業の会社があり、オーナーは薬師谷の薬師神金吾という人でした。
氷棚を造って凍らせた清浄な氷塊を、モッコやホゴで往復90分の道を一日4回、一回につき130k(女性は45k)運び、日当は80銭〜1円だったといいます。ワラジがすぐ擦り切れるので 素足で雪道を歩いていたとか・・・
一つの氷室に二日がかりで氷を入れたらしい。
旧暦6月1日以降が氷出しになるが 病人用に限りそれ以前でも取り出したそうです。
現在 氷室は崩壊が進んでいます。石組みが確かなうちに是非保存の措置をして頂きたいと切望します。
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