11:50 大柳生の里に別れを告げて 南明寺(なんみょうじ)のある坂原の里へ 山を越える。
      緩やかな勾配の歩き易い道だが 頭上の木々を風が揉む。

  
大柳生側の登り道             坂原側の下り道

山道はほんの数分で終了して 何かの施設が現れた。立ち入り禁止の標識がある。


あとで地図を調べた。

どうやら
「青少年野外活動センター」らしい。
洒落た建築物である。
 
センターの横を だらだら歩いていく。
近くの藪で
わりと若い男性が二人 何かを採っていた。


12:02 視界がひらけて 南明寺らしい屋根が見えてきた。
      心和む屋根の勾配だなぁ。道は左端の小道から南明寺へ通じている。
      寺をかこんで平和な里の佇まい! 心やすらぐ風景。

   

12:07 南明寺に到着。寺は無住らしく 戸締りがしてあり ご本尊を拝観出来ない。
      道標の目標は 山向こうの疱瘡地蔵に変わった。
      少し行くと「おふじの井戸」がある。屋根で囲われ 説明板付き。
      柳生但馬守宗矩と村娘おふじの知的なロマンスが伝わる井戸だとか。
      今は農業用に使用しているようだが 水は濁っていた。

   

左折して広い野中の道を進んでいくと 突然道標が右折を示す。この辺は だだっ広い。
自分の存在が やけに ちっぽけに思えてくる。
やがて徐々に山の方へ近付く。山越えの前に昼食の場所を探さなきゃ〜 おなかがペコペコだよぉ。

12:20 
ツバキの散り敷く道端に腰を下ろして 昼食にする。


今朝 横浜からの夜行バスが近鉄奈良駅に着いてから
バスセンターの近くの食堂で
朝食をとったときに買ったお弁当
シメジの炊き込みご飯が 美味しい。

強風で 後ろの山が 轟々と鳴っているが
風は ここまでは下りてこない。


自動車道が視界を横切っている。向かって右が柳生方向。坂原のバス停は左端の画面が切れた辺り。
バスが音楽を鳴らしながら走って行った。”エリーゼのために”のオルゴール曲かしら?
眼下の青麦畑を風が走り 緑の濃淡模様が煌きつつ移動する♪ 悠然たる風景である。
しかし 背後の山鳴りは 気色悪い(^^ゞ  
木々が強風に身を揉んでいる! この山を一人で越えるのかぁ〜

         

12:50 

昼食を終えて 
いざ 
山鳴りの山中へ出発。

木々の新緑は日を受けて明るいが 
道はぽっかりと開いた暗い穴へ吸い込まれているよ!

う〜む・・・



山中は予想以上の難路だった。
急坂でもあったが 木洩れ日に ”微塵に降り注ぐ” 細かい塵のような物体に悩まされたのだ!
茶色の塵みたいなもの・・・杉か檜の花屑だろうか?
息をすると鼻に入ってくるので タオルで顔を覆って歩く。
目に入らないように 出来るだけ目を細めて足元を見ながら進む。
しかも 全山轟々たる響きの中 私一人の山道  薄気味が悪い!   

コンクリートの荒い舗装の急坂が続く。

日の差さない暗い場所を歩いているとき 
上から中年の男性が一人下りてきた。
本日初めて出会う旅人だが・・・ 
さびしい山中での
一人旅のオバサンを異様に感じたのか〜
ものも言わずに通り過ぎて行った。

もっとも 愛想がよかったら 
反対に こちらが怖かったかもしれない??


舗装が尽きて昔ながらの山路になるころ 茶色の塵が降らなくなった。
木の種類が変わったのかな〜 そういえば落ち葉が違ってきたよ。
ホオノキ(朴の木)の枯れ葉が でっかいぞ。
 
     

13:02 

夥しいツバキの落花道を経て 
に達した。
山鳴りは右手の山で轟いていた。
僅か10分あまりの登りだったけど 
けっこう きつかったぁ!

半分は全山を揺るがす風のせいだったろう。
後で知ったのだが 
この峠の名をかえりばさ峠と言うのだそうだ。
       

下り道は静寂。さっきまでの山鳴りが嘘のよう!
半分くらい下りたころ 後ろから親子らしい男性二人が追いついてきたので やり過ごす。
ニコニコと挨拶して 駆けていった。
(あたしゃ〜急ぎませんよ)

13:20  疱瘡地蔵に着いた。さっきの二人が居る。木の間から下の人家が見える。
       あと少し下れば 柳生の里だ。

13:35  平地を歩いていると大きな案内板のある分岐点に出た。柳生到着である。
       要所要所を撮影し 花があれば花を写し のんびり歩いてきた。
       案内板のルートマップを撮影する。
       青色の東海自然歩道を円成寺から柳生まで歩いてきたのだ。

      

円成寺〜夜支布山口神社〜南明寺〜峠越え〜と 変化に富んだ道だった。
今夜は柳生泊りだ。 時間はたっぷりある。 観光巡りに出かけよう。

家老屋敷・陣屋址・十兵衛杉・正木坂道場・芳徳禅寺と歩く。芳徳禅寺の柳生一族の墓碑は圧巻である。

お土産を買う予定があったので
錦生酒造に寄る。奥さんは商売熱心で話好き♪ 
何種類ものお酒の味見をさせて頂く。
おつまみまで頂戴して恐縮(^^ゞ
予定通り購入し 全部送って貰うことにした。
これで柳生土産は完了。

奥さんの薦めで 一刀石を見にいくことに決める。

疱瘡地蔵に居た二人が店内に入ってきた。
家老屋敷でも会ったなぁ。

16:00  正木坂を上り 右に進路をとって戸岩谷の天石立神社に至り すぐ上の一刀石に辿りつく。

「柳生石舟斎が天狗と試合をして
一刀のもとに斬り捨てたところ 
二つに割れた巨石が残った」という伝説の花崗岩。
7m四方もあるそうな〜
暗い林中の 真っ二つの巨石に圧倒された。
以前は棚田だったそうで 
じめじめした場所である。
今は杉林になっている。

天石立(あまのいしだて)神社のご神体の戸岩は
巨大過ぎて撮影出来なかった。

 

☆民宿は部屋の窓一杯に陣屋址が見える川沿いで 一晩中水音が聞こえた。
  慣れないと耳について 眠れないものだ。せっせと作句にいそしんだ。


翌朝 
バス停から見た「十兵衛杉」
枯れ木の美しかったこと!

寛永3年
柳生十兵衛が諸国漫遊に旅立つ際
この杉を植えたといわれる。

樹齢350年余を経て 
惜しいことに落雷で枯れてしまった。
すぐ下に 2代目の杉が育っている。


                    ****************************

☆ 東京での鷹同人総会のあと 東京駅前の丸ビルへ行き夕食を済ませ丸善で時間を過ごし
   横浜発の夜行バスに乗って 翌朝奈良に着き 柳生街道を歩くという強行軍の旅!
   2月に母が亡くなって以来 体調を崩している私にとって 「賭けの旅」でありました。
   幸い無事に楽しく歩くことが出来て 自信に繋がりました。
   忘れられない旅になりそうです。
   翌朝 柳生のバス停でご一緒した地元のおじさん!色々貴重なお話を有難うございました。

        ”死者遠し近しあけぼの囀れる”   よし乃

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