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               風騒ぐ「柳生街道」ひとり旅   03.4.21.

奈良市内から能登川に沿って春日山中に分け入り、
石切峠を越えて忍辱山から柳生に至る道を、柳生街道と呼んでいる。その街道のなかでも
能登川沿いの道は渓流が随所に小さな滝を作っているため 特に「滝坂の道」と呼ばれている。
雨の日など道が小川のようになる暗く寂しい森の中の道だという。
私は体調に自信がなかったので 忍辱山までバスで行き そこから歩いた。

8:29 近鉄奈良駅発バス → 9:06忍辱山(円成寺前)

忍辱山(にんにくせん)
バス停近くの民家。
黄色の花は
レンギョウの残り花。


バスを降りて
数メートル引き返すと
円成寺の入り口がある。
「えんじょうじ」と読む。



円成寺は柳生街道第一の名刹で 国宝の建造物や重要文化財の仏像がある。
円成寺の入り口の”結界”が珍しかった。(タクシーの運転手さんが説明していたのを拝聴) 
入ってすぐ左に広がる国名勝の”平安期の舟遊式庭園”は優雅だ。
寺の夫人のお話では 池のツツジは自然に生えたものだそうである。

   

円成寺で祈願札の書き込みをして納札したり 国宝の社を拝観したりして
思いがけない時間が過ぎていった。

9:50 円成寺を出発 

 
バス停の先にある道標に従って 
東海自然歩道に入る。
道標の表示は
「南明寺 柳生  4,7km」
次の目標 南明寺(なんみょうじ)までの距離だ。


道は暗い林を通過して
のどかな
山畑の中を通る。  

 

イチリンソウやキンポウゲやケマンソウの咲き競う山中の畑道を 歌をうたいながら快適に歩く。
採り頃のふっくらしたゼンマイが所々にある。

10:20
少し下りになったかと思うと 広い山田に出た!

田植えの準備のため
幾つかの田に水が張ってあり
カエルの鳴き声が
とても賑やか♪

遠くから声が近付いてきて
山菜採りの陽気な男女とすれ違う。
四方の新緑が美しい。
向こうに咲いている白い木が
サクラとは違うみたいなので
見に行ったら
満開の梨の花だった。

広い山田を過ぎて 進路は左の暗い山道へ〜 軽くひと山越えると 川岸の田へ下りた。
畦にキンポウゲが咲き 路傍には 抜き捨てられたナノハナが 綺麗に咲いている。

         
 
ほどなく 人家が見えて 道標があり 南明寺方向は 川へと右折を示している。
直進が「大柳生バス停」と表示されているのは ここの地名が大柳生に違いない。

10:50

右折すると
橋を渡り 来た方向へと上っていき
広々とした里に出た。
中央の野面(田畑)を囲んで山際に家々が並び
大柳生は豊かな土地である。

道が縦横に走っているので
戸惑いながら歩いているうちに
自分の進む道を見失った!


折り良く 向こうからオジサンが来る。近付くのを待って聞いてみた。
「そこが山口神社ですよ。そして道はあちらの家並みを通って 左手の山を越えて行きます」 
「有難うございました。助かりましたぁ。目の前まで来て 迷っていたんですもんね」
下の写真は その迷っていた場所から見た「これから通る家並みの道」向かって右から左へと歩く。

山口神社の社殿前にノートが置いてあったので 先刻の経験を書き込む。
『橋を渡ってからここへ来る途中迷ってしまった。広い場所に出て分岐点が多いのは人生のごとし』

 

神社下から田のなかの道を通り 家並みを目指す。近くの田で 田植えをしている一家がいた。

11:30 家々の間の道を歩く。
      軒下に吊ってあるタマネギが 立派な芽を伸ばしているのを見る。
      その先の小さな十字路に 幾つかの古い石塔が立っている。
      南無阿弥陀仏と判読できないこともない〜。
      何か謂れがあるのだろうが 聞こうにも人影はない。

    

11:40 門口で早苗を積み込んでいるご夫婦の前を通る。
      午後から田植えをなさるのだろう。
      家々はしっかりとした造りで 庭は春爛漫の季節♪

 

道端に色んな野の花が咲いている。
山道の入り口には ニリンソウの群落が花盛り♪
ミツバアケビの暗赤色の花もあった。
この頃から風が次第に強くなってきて 撮影に苦労する。でなくても私は手ブレの名人なんだからさぁ(^^ゞ

  

11:50 山越えの道標まで来た。”さらば大柳生” しみじみ振り返る。
      正面の黒々とした森が山口神社である。あのド真ん前で迷ったっけ!
      この里に 何故か馴染んでしまって 名残惜しい私・・・

    

視線を右に移すと自動車道が走っている。下の写真の左寄り辺りに 大柳生のバス停があるはずだ。
車道は 右手の柳生方面からきて 
山口神社の遥か手前で山中に入り 奈良へと通じている。

       

足元から 南明寺への山道が ほそぼそ続いているのが見える。          

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