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          春の嵐に乾杯した「元越山」   02.3.21.  

元越山は標高582mの低山で 大分県佐伯市と米水津村の境に位置する。 
展望の素晴らしさは 国土地理院の技師が「全国三角点のうちベスト4に入る」と感嘆したとか。
明治の文豪 国木田独歩は22歳のとき 佐伯の鶴谷学館の英語教師として赴任し 
10ヶ月滞在した間に幾つかの山を歩いた。
元越山には明治26年11月5日に登り 帰京後登山記を発表している。

地元「木立郷土史研究クラブ」提供の資料による独歩の「元越山に登る記」の一部紹介
「山巓に達したるときは四囲の光景余りに美に、余りに大に、余りに全きがため感激して涙下らんとしぬ。
ただ名状し難き鼓動の心底に激せるを見るなり。
太平洋は、東にひらき、北は四国の地 手にとるがごとく近くに現れ、西及び南はただ見る山の背に山起こり、
山の頂に山立ち、波のごとく潮のごとく、その壮観無類なり。

最後の煙山ついに天外の雲に入るがごときに至りては・・・」
残念!登山口にあった資料はここまでである。

 7:00 大分体育館 出発
 8:45 佐伯市宮河内登山口 出発
10:20 元越山頂
12:30 宮河内登山口 帰着

登山口風景。到着早々 小雨がぱらついて来た。予報通り荒れそうだ。
入り口右のお地蔵様は赤い帽子が可愛い。
「ここが入り口?」と言う声がして 確かに山の玄関らしい雰囲気だと思った。
悪天候にもかかわらず 惠ちゃんの所属する”ほいほいクラブ”(大分市)の方3名が参加してくださり
総勢5名の山行となった。

  

お地蔵様の脇に碇草(イカリソウ)が咲いていた。風が出てピントが定まらない。
登山口手前の 白壁の家の庭を入っていくと「元越山登山者用トイレ」が設置されている。有り難い!

8:45 登山口出発
雨は降ったり止んだり 風が強く 両側にシダの茂る道は深くえぐられツルツルで雨の日は危険だ。
所々にとても小さいスミレが咲いていて 濃いピンクが綺麗で写真を撮りたいのに強風で駄目。
撮れない分 目に焼きつけておく。
途中 お地蔵様が2箇所まつられていた。
鞍部では烈風に惠ちゃんが吹き飛ばされたほどで 山頂に着くまで写真を撮る余裕無し。

10:20 風の暴れる元越山頂上に到着した。雨が上がったのが 大いなる救いだった。
遮るもののない360度の展望は 春の嵐に海と空の境も分からず 空と山の見分けもつかず
ススキを刈ったあとのカヤ屑が埃となって飛び交い 南斜面の木々は悲鳴を上げて身を捩る。

 

 左上の写真は東方の展望。

宇和島市の鬼が城山系から見る水の子灯台を(この図では左上方の水の子島) 元越山頂から見たかったのだが
展望どころではなかった!
南風でも烈風は体温を奪う。
独歩が感激の涙を流した場所で 我々は寒冷のハナミズを流しながら記念撮影を終え 
カヤ屑の飛び込むビールで春の嵐に乾杯。

火を使うのは危険なため 山頂下の風の弱い地点を選んで コーヒータイムにした。
甘いケーキの美味しかったこと♪

11:15 下山開始。

途中一箇所だけ視界の展けた所にツツジが咲いていたので 
土肥さんに枯れ葉の木を見えないように寄せてもらって 
里の風景を撮影した。

登り下りの登山道で唯一撮った写真だ。
今回のように 
登山口と山頂の写真しかない山行も珍しい。      
土肥さんとは
1999年秋
宮崎県の大崩山以来の再会で
あの折りの 鹿に出遭ったことなど
思い出話も懐かしかった。

 

12:30 宮河内登山口 帰着。風はおさまっていた。

(写真提供 惠ちゃん)

登山口で落ちついて もう一度記念写真の撮りなおしをした。シャッターを押してくれたのは通りがかりの小学生の男の子。


帰る途中 道路情報に最高気温22℃と表示があった。
ついでに尺間山に登る。
608mの霊山で頂上に尺間神社の社殿があり
車道がかなり上まで通じていて 30分で登れる。
尺間山はスミレが花盛り、カンカン照りになって暑い!

岩窟の手水場にカエルの声がするので
よく見ると
奥の岩にビッシリ卵が生みつけられていた。
ヒキガエルみたいなのが
水中垂直停止していたり
水底では正座?していたりして動かなかった。
人間を全然怖がらないカエルである。

 

☆ 資料によると毎年2月の第4日曜日に「元越山登山会」が実施されている。
   接待もあり遠望の利く季節なので 一度は参加してみたいと思う。

☆ 大分県佐伯市は母の故郷であり 私が生まれた地でもある。
   母は豊後水道を渡って愛媛の叔母の家(網元)に嫁いできた。

               

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