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        「フッカー・ヴァレー・トラック」 世界遺産の谷を歩く
 02.5.16.

ニュージーランドの南島、
マウント・クック国立公園にあるフッカー渓谷をフッカー氷河末端の湖まで登るコースである。
途中、フッカー川を2度渡るが 
一つめの吊り橋までで往復1時間、二つめの吊り橋まで行くと往復2時間、
フッカー氷河湖までだと往復4時間の 人気の高いトランピングである。

「トランピング」とは ウォーキングとトレッキングと軽登山をひっくるめたものを言うらしい。
トラックとは 踏み跡とか小道のことである。

 

昨夜遅くハーミテージホテルに着いたとき
頭上に南十字星が美しかった。

朝 カーテンを開けたら
目の前にクック山が迫っているではないか!
ホテルの部屋からマウント・クックが見えると聞いてはいたけれど
こんなに間近だとは・・・感激♪

雲一つない快晴だ
早速カメラを持って部屋を出る。
ホテルの玄関前には
すでに沢山の人が撮影を始めていた。

 

ホテル前の小高い地点からクック山を見る。地面は真っ白な霜である。
ニュージーランドは晩秋の季節で 時差は日本より3時間早い。

       *********************

9:07 ホテル発  バスに5分ほど乗って キャンプ場まで行く。
            ここも真っ白な霜! 標識にフッカー・ヴァレーを歩く人用と書いてある。


9:17 キャンプ場出発 
     どこまで行くのか 最終地点は知らされていないが
     重そうなザックを背負ったガイドに全面的敬意を表して 黙って付いて歩く。
     きっと救急のためのグッヅが入っているにちがいない。

     道の両側も草原の中も トゲだらけの低木しか生えていない。
     ガイドのKeiさんは(胸の名札にKeiと書かれていた)
     広島県出身の小西ケイスケさんという青年で ここへ来て4年。
     まだしばらく滞在する予定と聞いた。

     トゲの木はマオリ語で「マタゴオリ」と教えてもらった。
     マオリ族はトゲを使って縫い物をしたり 刺青をしたそうで 
     ゴオリとは顔を引っ掻くという意味だとか。 
     イギリスからの開拓者は「ワイルド アイリッシュ」と呼んだ。”乱暴なアイルランド人”の意。
     土地を切り開くには 相当手強い、始末の悪い木だったであろう。

     深い谷間は 朝日が届かないので 暗くて写真が撮れない。 
     帰りに撮影することにした。

9:50 第1吊り橋に到着。1度に定員20名の重量制限が表示されている。
     先の人が進んだあと数を五つ数えてから渡り始めるよう指示が出た。

      

足下は轟々たる濁流の響き。氷河から溶け出たグレイシャーフラワー(氷河の粉)を含んだ水だ。
渡り終えて尾根に出たと思ったら そこはモレーンの上で 崩れ易い危険地帯である。


10:25 眺望が開けた。Keiさんの説明が始まる。

「前方左がミューラー氷河の末端の土砂です。
今我々は標高800m地点にいます。

空気が澄みきっているので
目の前の山が近く見えますが
3151mのマウント・セフトンです。
直線距離にして6km離れています」


うへ〜っ 驚き! 

山の積雪のひだまで明瞭に見えるのに 
3000mの高さだとは恐ろしや〜〜〜。
錯覚の極みだと思う。

川岸を氷河が削ったあとが
灰色になって残っている。

 

10:40 第2吊り橋
      深い谷を渡りきって振り返ったら 細い道に生徒が連なっていた。湧いて出たとは こういうことか。

  

第2吊り橋を渡って 
ほんの少し登ると日の当たる斜面に出た!
マウント・クックがドカ〜ンとそこにある!

Keiさんが
「今日はここを最終地点としますが
余力のある人は 
この先を少し登るとフッカー川の水辺に出ます。
眺めが良いですよ。
そこから上は上級者コースになりますので
絶対その先へは行かないで戻ってください。
11:10 下山開始です」

もちろん行きますよ、水辺まで♪


 
フッカー川の河原に出た。確かに素晴らしい展望だ。
マウント・クックの二つのピークが直ぐそこに聳えている!
あの頂上に登るためには 向こう側の山腹にある山小屋へヘリコプターで行き
天候を見定めて氷河や氷壁をアタックして10時間はかかるという話であった。
正確にいえばクック山には3つのピークがあるが 普通2つしか見えないそうである。

日当たりが良のと
水辺のせいか 緑が多い。

下の乾燥地帯では
葉もなくてトゲだけだったマタゴオリ
赤やオレンジ色の実をつけている。

Keiさんに聞いてみた。
「マタゴオリの花が
どの種類の花と交配したかで
実が違ってきます。
色々な実がなっていますよ」

その通り 
別の土地で白や紺の実も見た。

 

 

大きな花が咲き終わった株が
点在している。

花を見たかったなあ!

 

 

 

 

 

 

 

 


賑やかな声がして生徒たちが登ってきた。可愛い〜♪  どうやら氷河湖まで行くらしい。

11:06 あっという間に下山時間が近付く。
      もう一度 しみじみマウント・クックを眺める。左手前がガイドのKeiさん。

 

11:10 下山開始 未だに日の差し込まない所は地衣類が美しい。
      日本の「サルオガセ」の仲間で 
      こちらでは「オールドマン ビアード」おじいさんのアゴヒゲ と呼んでいるそうな。

地衣類の説明をする
ガイドのKeiさん

素顔は
とてもチャーミングな
優しい青年なのだけど

度数付きのサングラスのため
日陰でも外せないようで・・・

ニュージーランドは南極に近いので
紫外線の量が凄くて
夏場はサングラスが必需品

今日も天気が良いから
日向は眩しくて
私もサングラスを使った。

 

前方右端に第1吊り橋が見える。
モレーンの堆積の丘の遥か先に プカキ湖のミルキーブルーが広がっている。

11:45 第1吊り橋までもどる。太陽が頭上にあり 谷間は明るい。


    

氷河が削ったU字谷の石屑は鋭くて歩き難い。    トゲの鋭いマタゴオリもまた危険である。

 

上の写真は どちらもマタゴオリの木。アフリカのサバンナで キリンが葉を食べている木と同じ種類らしい。


12:00 右手前方の山裾にハーミテイジホテルが見えてきた。
      キャンプ場は近いぞ。

 

 

12:05 キャンプ場に帰着。迎えのバスを待つ間に綺麗な鳥が寄ってきた。人を恐れない鳥だ。
      頭の白いのがメス。ちょこまか動き回って 忙しそうな奥さんて感じ。  
      オスは黒い羽の下に美しい羽毛を持っていて飛んだときは華麗であった。

   

Keiさんの話
「パラダイスシェルダックといいます。メスが常に先に行動して オスが後からついていきます。
大変仲の良い鳥で一生連れ添い 片方が死ぬと残されたほうも間もなく死ぬそうです」

「わあ〜誰や 自分たちと比べとんのは〜」 爆笑が起こった!

        ************

☆マウント・クックは標高3754mと 富士山より少し低い山ですが
 南極に近く緯度が高いので 森林限界は1500mだそうです。
 年間の降水量が400mm以上 ほとんど2日に1回霧雨が降り
 晴れた日でも 山頂は雲をまとうことが多い。
 私たちは 凄い幸運に恵まれたわけです。

 神様に感謝しています。

               

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